香川照之と市川猿之助は兄弟並激似だが家系図関係はいとこ。生い立ちは正反対。

香川照之さんと市川猿之助さんはいとこ同士だが生い立ちは正反対。

宗家長男の香川照之さんが歌舞伎と無縁に育った理由は父親の不倫にあった？

※2020年8月に掲載したものを再掲載しています。

兄弟並激似が話題

香川照之さんと市川猿之助さんは2020年のドラマ「半沢直樹」（TBS系）で共演しています。

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A post shared by 市川猿之助　ENNOSUKE ICHIKAWA Ⅳ (@ennosuke_ichikawa4) on Jul 15, 2020 at 6:49am PDT

共に敵役ということもあってかネット上では、「そっくりの悪人面！」「敵役の演技させたら何であんなに似てるんだろ」と話題になっていましたが、

2020年7月24日放送のトーク番組「A-Studio＋」で市川猿之助さんはその理由の一端を語っていました。それによると、

実は市川猿之助さんは自身のすべてのセリフを香川照之さんにしゃべってもらい、その録音を見本としていたそう。

猿之助さんの重要シーンを撮影する際には、その日出番がないにもかかわらず現場に来てくれたといいます。

香川照之さんがここまで世話を焼くのは、二人がいとこ同士であり共に歌舞伎界に属していることも大きいのでしょう。

以下では、香川照之さんと市川猿之助さんの家系図上の関係や、いとことは思えない正反対な生い立ち等を紹介します。

澤瀉屋のいとこ同士

歌舞伎の歴史は江戸時代初期にまでさかのぼります。

最も権威があるといわれる市川團十郎の成田屋も江戸時代初期から続く家系ですが、

中には明治以後にできた新しい一門も。

「市川猿之助」「市川段四郎」を宗家名跡とする澤瀉屋（おもだかや）のスタートも明治時代です。

初代は師である九代目市川團十郎に一度は破門されるも芸を磨き続け、20年後に破門を解消された際に初代市川猿之助と改名。

その後も芸を磨き続け、一代でその地位を築き上げました。

香川照之さんと市川猿之助（四代目）さんは澤瀉屋の三代目にあたる三代目市川段四郎の孫。

つまり二人はいとこ同士です。

香川照之さんは三代目段四郎の長男・三代目市川猿之助の長男、

市川猿之助（四代目）さんは三代目段四郎の次男・四代目市川段四郎の長男です。

これを見ると、長男の血筋である香川照之さんの方が歌舞伎界での立場が上であっても不思議ではありませんが、

実際には市川猿之助さんが7歳で初舞台を踏み、2012年に看板名跡の1つである猿之助を襲名しているのに対し、

香川照之さんは2012年に46歳で九代目市川中車を襲名し初舞台を踏むまで歌舞伎の世界とは無縁でした。

正反対の生い立ち

市川猿之助：歌舞伎エリート街道

澤瀉屋三代目の次男の血筋である（四代目）市川猿之助さんは1975年に生まれ。

幼いころから歌舞伎の稽古に励み4歳で初お目見え、7歳で二代目市川亀治郎を襲名し初舞台を踏みました。

小中校と名門・暁星学園で学び、1998年に慶應義塾大学文学部国文学科を卒業。

2012年には香川照之さんの父親から猿之助を引き継ぎ四代目市川猿之助を襲名し、着実に歌舞伎界での地位を築いています。

また、2007年には大河ドラマ「風林火山」に準主演・武田信玄役でドラマ初出演。

その後は時代劇に限らずテレビドラマや映画にもたびたび出演するようになりました。

香川照之：46歳歌舞伎デビュー

澤瀉屋三代目の長男の血筋である香川照之さんは1965年生まれ。

先代長男の血筋という点でみれば、香川照之さんの血統はいとこの猿之助さんよりも上であり、

順当にいけば香川照之さんも幼いころから歌舞伎の稽古に勤しみ、今頃は看板名跡である猿之助や段四郎を継いでいたかもしれません。

しかし、香川照之さんが2歳のときに父・三代目市川猿之助さんと母・浜木綿子（元タカラジェンヌ）さんが離婚。

離婚の原因は三代目猿之助さんが家庭を捨てて不倫相手と駆け落ち（後に再婚）したことにありました。

香川照之さんは一人息子であり澤瀉屋の後継者候補筆頭だったはずですが、

離婚の原因が原因なだけに、離婚後は母親に引き取られ歌舞伎の世界に足を踏み入れることなく子供時代を過ごしました。

ちなみに、いとこの四代目市川猿之助さんとも面識がなく、親交が始まったのは2006年のことだったそうです（市川猿之助（4代目）wikipedia参照）。

暁星学園（小学校から高校まで）から東京大学に進学・卒業した香川照之さんは、

1989年にNHK大河ドラマ「春日局」での小早川秀秋役で俳優デビューを果たします。

その後も着々とキャリアを重ね、2002年のNHK大河ドラマ「利家とまつ〜加賀百万石物語〜」で唐沢寿明さん演じる主人公・前田利家の親友かつライバルである豊臣秀吉を好演したことで広く知られる存在に。

その後も多数の映画ドラマに出演し続け、2010年の日本アカデミー賞最優秀助演男優賞受賞をはじめ、多くの映画・ドラマ賞を受賞する実力派俳優となりました。

こうして日本でもトップレベルの俳優になった香川照之さんですが、

2012年に46歳にして突如歌舞伎界デビューすることとなりました。

以下は当時の香川照之さんのコメントの一部。

この度九代目として市川中車を襲名させていただく事になりました。今年で46歳、歌舞伎の世界とは無縁に過ごして参りましたが、私の中では140年にわたり続いている家系を、私、そして政明という長男がいながら、継いでいかなくてはよいものだろうかと、ずっと自分に問うて参りました。

※歌舞伎公式総合サイト「歌舞伎美人」より引用

先述の通り、香川照之さんは三代目市川猿之助（現・二代目市川猿翁）さんの一人息子でした。

三代目はその後再婚しますが二人の間に子供はなし。

また、三代目の甥が四代目市川猿之助さんですが、2020年7月末時点で四代目猿之助さんは未婚で子供もいません。

つまり、澤瀉屋の次世代の血縁者は香川照之さんの息子以外いない状況でした。

こういった澤瀉屋の後継者問題もあり香川照之さんは父親と和解。

息子は五代目市川團子を、自身は九代目市川中車を襲名し、46歳にして歌舞伎の初舞台を踏みました。

宗家の長男とはいえ実績皆無の香川照之さんが澤瀉屋の看板名跡である猿之助や段四郎を継ぐことはないでしょうが、その息子の五代目市川團子さんには期待がかかっています。